歯周病の進行度ごとの治療方法|水戸市の歯医者

歯周病の進行度ごとの治療方法

2023.06.30

今回は、歯周病の進行度ごとの治療方法についてご紹介します。

歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で歯の周りの組織が破壊される病気です。
歯と歯ぐきの境目に歯肉ポケットが形成され歯周病原菌が繁殖し、炎症を起こすことで歯ぐきが腫れる、出血するなどの症状がみられます。この状態を歯肉炎といい、放置することで歯周炎に進行します。
症状の進行状況により軽度から重度まで段階がありますが、進行度ごとにその治療方法は異なります。

 

 

 

 

 

 

 

健康な歯ぐきとは

状態     :健康な歯ぐきは、薄いピンク色をしていて弾力があり引き締まった状態です。
炎症もなく健康な状態ですので歯磨きをしても出血するようなことはありません。
歯肉ポケット :1~2mm程度

 

歯肉炎の治療方法

状態・症状  :歯ぐきが丸みを帯び、赤く腫れ、歯磨きをしたときに出血するようになるなどの症状がみられます。この段階では、まだ歯を支えている骨(歯槽骨)には影響はありません。
歯肉ポケット :2~3mm程度(出血あり)
治療法    :歯肉炎はプラークコントロール(プラークの除去)で十分に改善が期待できます。

 

補足

プラークコントロールには、患者様ご自身で行うセルフケアと、歯科医院で行うプロフェッショナルケアがあります。プロフェッショナルケアを受けることは、健康な口腔内を保つうえで重要ですが、プラークは毎日蓄積します。毎日歯科医院に通うのは大変ですよね。ですので、毎日のセルフケアが最も大切です。セルフケアでは、正しく行えているかどうかがとても重要で、これが上手く行えなければプラークが除去されず歯周病はどんどん進行していきます。つまり、【3カ月に1回歯石除去をしているから大丈夫】とプロフェッショナルケアのみに頼るのではなく、ご自身による正しい歯磨きの方法(セルフケア)を身につけることが大切です。そうすることで歯肉炎や歯周病の原因となるプラーク(歯垢)をしっかり除去することが出来て、結果として歯肉の炎症を抑えたり、歯周病の進行を抑制するだけでなく、虫歯予防もできるようになります。当医院では歯科衛生士がお一人おひとりに合った歯磨きの方法をお伝えしています。→「正しいブラッシング方法とは?」

軽度の歯周炎の治療方法

状態・症状  :歯肉炎と同様に歯ぐきが赤くなったり、歯磨きをしたときに出血するような症状がみられます。歯肉炎と異なる点は、歯を支えている歯槽骨にも少しずつ影響が出始めているということです。人によっては、口臭が気になる、歯が浮くようなむず痒い感じがする方もいますが、まだ痛みを伴うことはないため、歯周病の初期段階にあることに気づかない方がほとんどです。
歯周ポケット :3~4mm程度
治療法    :このような軽度の歯周炎も、プラークコントロールである程度の改善が期待できます。歯ぐきが腫れている状態では歯石が隠れていることがありますので、まずは腫れを引かせるために正しい方法でセルフケアを身につけ、実践することが大切です。毎日のセルフケアによって、歯ぐきの炎症、腫れ、出血を止め、お口の中の環境を改善します。歯ぐきの炎症がおさまり引き締まってくると、歯石が見えやすくなります。歯石は歯ブラシでは取ることができないので、歯科医院で専門の器具を使って除去します。(プロフェッショナルケア)

 

 

 

 

 

 

補足

また、歯周炎の原因として噛み合わせなどが考えられる場合には、プラークコントロールだけではなく根本の原因となるものをできる限り排除することが重要です。

→こちらの記事もご参照ください 「歯周病の原因」

中等度の歯周炎の治療方法

状態・症状  :中等度の歯周病では、歯を支えている歯槽骨が吸収し、歯がぐらぐらするようになります。骨の吸収が大きくなると歯肉が下がり、歯根も出てきます(歯が長くなったようなイメージ)。歯槽骨の吸収によってポケットが深くなり歯ブラシの毛先が届かない部分(歯肉縁下)に歯石が多く付着するようになります。
歯周ポケット : 4〜6mm程度
治療法    :患者さんによるセルフケアが出来るようになってから、歯肉縁下の歯石除去(SRPなど)を複数回にかけて行い、ポケット深さや歯茎からの出血(炎症)の減少を目指します。ポケットが深すぎて歯石の除去ができない箇所に対しては、歯ぐきを切開する歯周外科処置(フラップ手術:FOP等)をおすすめすることもあります。また、失われた組織の回復を促す薬剤を入れる手術(歯周組織再生療法)を行うこともあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

補足

当院では、再生療法の薬剤としてリグロスとエムドゲインを使用しております。リグロスは細胞を増やす成長因子を主成分としており、この成長因子の作用により破壊された歯周組織の再生を促します。2016年9月より保険適用が可能となり、歯周病の再生治療に広く使用されるようになってきました。エムドゲインはブタの歯胚から抽出したタンパク質の一種で、20年以上の臨床実績がある信頼性の高い歯周組織再生材料です。患者様ごとに最適な方法を提案しています。

重度の歯周炎の治療方法

状態・症状   :歯周病が進行して重度になると歯を支える歯槽骨が大きく失われ、歯の動揺が激しくなりしっかり噛むことが難しくなります。歯槽骨が失われたことにより歯ぐきが下がり、歯の根が露出します。
歯周ポケット  :歯周ポケットは6mm以上
治療法     :患者さんによる徹底的なセルフケアと歯科医院で行うプロフェッショナルケア、歯周外科治療等が必要になります。しかし、それでも回復が見込めない場合や残すことで今後問題が起こりそうな場合は抜歯が必要に至るケースもあります。

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

日本人が歯を失う原因で最も多いのは歯周病です。自覚症状がなく進行するため、気が付かないうちに重症化してしまう恐ろしい病気です。また、基本的には一度失った歯周組織(歯根膜や歯槽骨)が元に戻ることはありません。再生療法を行って回復させたとしても、失う前の状態まで元通りにすることは難しく、重度の歯周病になってからでは手遅れです。

痛くないからまだ大丈夫。と油断していると手遅れになってしまいますから、そうなる前にしっかりと検査、治療を行い、その後も定期的な検診と毎日の丁寧なセルフケアでしっかりと予防していきましょう。

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